動物(四肢動物)の方向の呼び方

医学では、体の前方とか後方とか頭の方や足の方等を呼ぶときに使うのは、それぞれの方向に「側」を付けて表すことになっている。体の前後方向で、前の方と言う場合腹方向ということから「腹側」といい、後の方の場合、背中から背をとり「背側」という。体の上下方向では、頭の方を「頭側」といい、足の方を「尾側」という。頭では、ちょっと違う表現をするようになっている。さらに脳だけだと更に違う方法が使用されることもある。動物、特に四肢動物でも同様の呼び方が使用されている。

図-1 人の方向

絵を使って説明すると以下の様(図-2)になっている。頭から尻尾までは頭側と尾側で表現するが、マズルから先は吻側となっている。頭でもどこでも背側と腹側という。足に関しては、長軸方向は体に近い方を「近位」遠い方を「遠位」と表現し、前後方向を頭側と尾側で表す。しかし、前肢の場合、手根関節を境にその遠位では前方向を「背側」とし、後ろ方向を「掌側」とし、後肢では足根関節から遠位は、前を「背側」とし、後ろ方向を「蹠側」あるいは「底側」とする。

図-2 犬猫の方法の名称 その1

さらにもう少し追加するので図-3参照。言葉で説明するとわかりにくいけれども、右の方を「右側」、左の方を「左側」、あるものより中心に近いものを「内側」、あるものより外にあるもの「外側」と表現する。

図-3 犬猫の方向の名称 その2

これらの呼び方は慣れてくるとものを的確に表現できるのでいろいろなことで役に立つようになる。特にX線検査の撮影を行う際にも読影を行う際にも絶対に使いこなせるようになる必要がある。

ただ、日本の獣医学では医学で使われている言葉をそのまま持ってきて使用されることも多く、前十字靱帯断裂(本来は頭側十字靱帯断裂)などもその一つ。

犬猫の解剖の本 2022/05

とにかく満足できる犬猫の解剖の本がない。

画像診断に適している解剖の本は、個人的には写真などよりも絵、特に白黒で描いているものだと思う。多くの場合、写真でつくられた本は死んだときの状態をフォルマリンで固定されたものを撮影しているものが多く、本来の臓器の位置関係や形状を維持しているものは少ないと思ったから。そしてカラーである必要は無いと思う。確かにカラーの方がすてきだと思うけれども値段が高くなりがちである。
日本語では以下のものをAmazonで見つけた。
犬の解剖は、過去にあったものもありましたが日本語の解剖用語に問題があるように思われた。新しい本はどうなのだろうか。

日本語では以下のものがありました。

Evans and de Lahunta犬の解剖

やはり、英語の方が新しいし安いですよね。Kindle版もあります。

Miller’s Anatomy of the Dog

犬の解剖カラーリングアトラス

翻訳していている先生が大学先生なので、解剖用語が日本で標準のものとなっていると思います。値段が安い。

図解 猫の解剖アトラス

内容は知りませんが、絵はきれいみたいですね。

呑気

これをなんと読むか?

例文で見た方がわかりやすい。

1. 彼は呑気だ。

2. この猫は呑気している。

1.はもちろん「のんき」と読む。意味は、「のんびりとしていること」というような意味になる。

2.は?

 

「どんき」と読む。意味は・・・「空気やガスを飲み込むこと」となる。そのため「どんき」と読む人は医療関係者であることが多い。

犬や猫は、基本的に鼻呼吸である。鼻で呼吸ができるうちは何も問題がない。犬はパンティングするので、これをしているときは口呼吸である。

でも、鼻炎なんかを起こして鼻づまりになると、口で呼吸しなくてはならない。そうなると、口呼吸が上手くできない犬や猫は、空気を幾分か飲み込んでしまうのである。すると、食道の中や胃まで空気で一杯になってしまう。さらに、犬や猫はゲップの上手ではないので、胃から少しずつ空気を後へ送って小腸や大腸にガスが充満してしまう。空気はほとんど吸収されないので、おならになって出る以外では、胃腸に溜まってしまう。これで、元気がなくなったり食欲不振にったるすることもある。

呑気の原因は、鼻づまりだけではなくパンティングだったり歯や口の中の病気などで唾液を飲み込むことで、ガスが消化管の中に流れ込んでしまう。

人では呑気症とか空気嚥下症といわれていて、胃の不快感や痛み、お腹の張り、げっぷやおなら、おなかからの音なんかが見られる。

呑気症でAmazon見ると

X線グリッド につて

X線グリッドの図

X線グリッドとは、「ブレンデ」とか「バッキー」とか呼んでいる人もいますが、正式な名称はX線グリッドでいいと思います。

このX線グリッドとは、カセッテの上に載せて使用する板状の物です。この役割は、X線検査時に発生する二次散乱線を防止して、一次X線のみのクリアーな画像をつくるための物です。構造は簡単なもので、X線を透さない薄い鉛の板とX線を透すアルミや紙、木など薄い板を、向後に並べ、窓のブラインドと同じよう一定の方向からの光(この場合一次X線)を通すことで、生体にあったって生じた散乱線がフィルムへ到達しないようにしているものです。

「ブレンデ」とは、X線グリッドの別名でありますが、X線グリッドをさして呼ぶ呼び方としては一般的ではないかもしれません。「バッキー」という言葉は、X線グリッドの分類の時使われる言葉で、リスホルム・ブレンデ(静止形)とバッキー(ブッキー)・ブレンデ(移動型)という分類の時にこれらの言葉が使用されます。


使用するときは、撮影する対象物が10cmより厚い時となります。これは生体の厚みが厚くなるほど散乱線を発生するため、許容できる厚みが10cmということです。ただし、10cmを超えても、骨関節や頭部の撮影には使用しない方が良いと考えます。

ここで注意して欲しいのは「10cm以下の部位には使用する必要がありません」という表現より、「10cm以下では使用しない」という方がよりかも知れません。そのため「10cm以上の部位にグリッドを使用しましょう」という考えの方がよりと思います。グリッドを使用しないで済むならそれに越したことはありません。せっかく撮影したフィルムに細かい線が入ってしまうからです。

近ではDR(digital radiography)やCR(computed radiography)が普及してきて、グリッドなしでもコンピュータ処理によって散乱線が補正されて、より良い画像が得られるようになりました。 また、得られた画像が人の目でも見やすくなるようグレースケールの修正やエッジなどの強調も行われていて、時にX線フィルムではあまり見られなかったものが見られるようになっています。(詳しいことはまた改めて)

一番の問題点は「X線グリッドを使用すると線が入る」と言うことです。骨格や関節の細かい構造を見るためにはこの線が邪魔になります。そのため、グリッドを使用して撮影された場合、関節周囲の細かい骨変化や骨の骨膜反応などが確認できないこともあり、正確な読影ができないこともあります。
「散乱線を減らすためにはX線グリッドは必要ですが、骨関節や頭部の撮影には使用しない」と言うことをお忘れなく。

※ 2022/10/12修正


参考HP:
http://www.jichi.ac.jp/usr/radh/admnradh/kennsyu3.htm

以下の本も参考にしてください。