超音波検査をおこなうときのマットや台

腹部超音波検査や心エコー検査を行う際にある方が便利またはやりやすいので、ちゃんと超音波検査を行うには必要なものです。腹部検査用と心エコー検査用、腹部超音波検査と心エコー検査の両方に対応したものがあります。それぞれの特徴があり一概に一番と言えるわけではありません。

腹部検査用マット

腹部超音波検査では、基本的に動物を仰向けにして検査をおこないます。様々な理由で仰向けにできない場合には横に寝た状態や座った状態、伏せの状態でも行うことができますが、十分な検査ができないこともあります。腹部超音波検査用のマットは、かつてV字マット(超音波検査用V字型マツト)が一般的でした。最近では、筒状のクッションを2つくっつけたような形状のものがあります。個人的にはV字マツトの方が使いやすいと思っています。値段的には、クッション型マットの方が、安いものが多いように思われます。V字マットは、表面の素材やテーベルトとの設置面積によるものかもしれませんが、テーブル上で滑りにくいものが多いように思われます。

◎ V 字マツト

◎ クッション型マツト

https://www.huves.co.jp/product/humax-%e8%85%b9%e9%83%a8%e8%b6%85%e9%9f%b3%e6%b3%a2%e6%a4%9c%e6%9f%bb%e7%94%a8%e3%82%af%e3%83%83%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3/

心エコー検査用マット

心臓の検査を行うためには、肺の空気が邪魔になります。そのため動物を横に寝かせて心臓重さなどを使用して下から検査することで、心臓周囲のガスを減らして心臓を見やすくします。

かつては、ホームセンターなどで売っている板のU字型にくり抜いてこたつの脚を付けるなどして自作される方も多くみられました。これを見栄えよく作っている製品もよく見まが、脚が高すぎてしまい、腕を宙に浮かした状態で長時間プローブを保持しないといけないので疲れてしまいます。マットあるいは台の高さは使用している超音波検査装置の心エコー用プローブ縦の長さプラスコードが折れ曲がらない程度の余裕(2-3cmくらい)があれば大丈夫です。

◎ ちゃぶ台型心エコー台 (脚が高すぎ)

◎ 脚を折ったまま2つのトリミング台の間に渡して使用

◎ 心エコー用マット(けっこう薄くて柔らかいので大型犬だと潰れて薄くなってしまい検査がやりにくくなることも)

https://is-vet-medical.com/

◎心エコー用マット 堅め

https://www.huves.co.jp/product/echo-mat2/

◎ 厚いマット型心エコー台

重いので安定性はとても良いです。高いのと穴が狭いので使い方に工夫が必要かもしれません。裏は、メッシュでメンテナンスに問題が出そうです。

https://www.huves.co.jp/product/humax%e5%bf%83%e8%87%93%e8%b6%85%e9%9f%b3%e6%b3%a2%e6%a4%9c%e6%9f%bb%e7%94%a8%e3%82%af%e3%83%83%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3/

腹部超音波検査と心エコー検査の両方に対応したマットあるいは台

腹部超音波検査も心エコー検査もできるものもあります。こちらの方が何かと便利なのですが値段が高いものが多いです。

下のものは、浅めのV字ではあり、小型犬や猫の腹部検査では体が安定しないこともあります。しかし、金属のフレームがありことで重さもあり安定性はとてもあります。

http://mechatex.com/animal-medical-device

説明の時に便利なのでパッドに入れておくとよい本

最近では動物病院の診察室でも会計や電子カルテなどのためにiPad などを置いてあることも多くなってきています。ここで、飼い主への説明の時にiPad にKindleなど電子書籍を入れて使用して正常なX線像を示しながら行うとより理解してもらえるようになります。私も、このような方法で正常像などを提示しながら獣医師や飼い主に説明することあります。

画像診断は、正常像との比較してどこが異常なのかを示していくのが一番わかりやすい方法であると考えます。その時に病院毎に正常像を残しておくのはとても大変です。そんなとき以下の様な本をパッドなどにいておくとどのような場所でも比較的簡単に正常像を示していくことが可能となります。

今回紹介する本は英語です。画像がちゃんとしているので英語の説明を読まなくても使えます。画像が豊富です。また、時間があるときにじっくり読んでみると新たな発見があるかも知れません。

iPad miniで犬の頭部X線像を出しているところ

最低限これらの本は必要です。

X線検査であればこれ

いろいろなX線画像が多く見ているだけでも楽しい本です。X線画像がきれいでかなり細かいところまで見られるので本当に役に立ちます。

An Atlas of Interpretative Radiographic Anatomy of the Dog and Cat (English Edition) 2nd 版, Kindle版

超音波検査ならばこれ

正常な像から異常なものまでたくさんの画像が見られます。気になる画像のあるページをブックマークすることでいつでも探すことがでる様になります。

Atlas of Small Animal Ultrasonography (English Edition) 2nd 版, Kindle版

動物(四肢動物)の方向の呼び方

医学では、体の前方とか後方とか頭の方や足の方等を呼ぶときに使うのは、それぞれの方向に「側」を付けて表すことになっている。体の前後方向で、前の方と言う場合腹方向ということから「腹側」といい、後の方の場合、背中から背をとり「背側」という。体の上下方向では、頭の方を「頭側」といい、足の方を「尾側」という。頭では、ちょっと違う表現をするようになっている。さらに脳だけだと更に違う方法が使用されることもある。動物、特に四肢動物でも同様の呼び方が使用されている。

図-1 人の方向

絵を使って説明すると以下の様(図-2)になっている。頭から尻尾までは頭側と尾側で表現するが、マズルから先は吻側となっている。頭でもどこでも背側と腹側という。足に関しては、長軸方向は体に近い方を「近位」遠い方を「遠位」と表現し、前後方向を頭側と尾側で表す。しかし、前肢の場合、手根関節を境にその遠位では前方向を「背側」とし、後ろ方向を「掌側」とし、後肢では足根関節から遠位は、前を「背側」とし、後ろ方向を「蹠側」あるいは「底側」とする。

図-2 犬猫の方法の名称 その1

さらにもう少し追加するので図-3参照。言葉で説明するとわかりにくいけれども、右の方を「右側」、左の方を「左側」、あるものより中心に近いものを「内側」、あるものより外にあるもの「外側」と表現する。

図-3 犬猫の方向の名称 その2

これらの呼び方は慣れてくるとものを的確に表現できるのでいろいろなことで役に立つようになる。特にX線検査の撮影を行う際にも読影を行う際にも絶対に使いこなせるようになる必要がある。

ただ、日本の獣医学では医学で使われている言葉をそのまま持ってきて使用されることも多く、前十字靱帯断裂(本来は頭側十字靱帯断裂)などもその一つ。

犬猫の解剖の本 2022/05

とにかく満足できる犬猫の解剖の本がない。

画像診断に適している解剖の本は、個人的には写真などよりも絵、特に白黒で描いているものだと思う。多くの場合、写真でつくられた本は死んだときの状態をフォルマリンで固定されたものを撮影しているものが多く、本来の臓器の位置関係や形状を維持しているものは少ないと思ったから。そしてカラーである必要は無いと思う。確かにカラーの方がすてきだと思うけれども値段が高くなりがちである。
日本語では以下のものをAmazonで見つけた。
犬の解剖は、過去にあったものもありましたが日本語の解剖用語に問題があるように思われた。新しい本はどうなのだろうか。

日本語では以下のものがありました。

Evans and de Lahunta犬の解剖

やはり、英語の方が新しいし安いですよね。Kindle版もあります。

Miller’s Anatomy of the Dog

犬の解剖カラーリングアトラス

翻訳していている先生が大学先生なので、解剖用語が日本で標準のものとなっていると思います。値段が安い。

図解 猫の解剖アトラス

内容は知りませんが、絵はきれいみたいですね。

Journal of ACVIM は現在無料のようです

表題の通り現在ACVIMの雑誌は無料で公開されています。いつまで無料なのか、もうずーっと無料なのかも知れません。PDFも無料でダウンロードできます。アプリもあってとても良い。

ちなみにACVIMはAmerican College of Veterinary Internal Medicineのことで、アメリカの獣医内科学会のことです。ここは、一般内科および循環器科、神経科、腫瘍科などがまとまってあります。そのためココの出版する雑誌の内容は多岐にわたっています。今の流行なんかを見るのに良いようなところもあります。

目を通すだけでも大変役に立ちます。もちろん、馬などの大動物もありますがあまり気にせず、それ以上に役に立ちます。

登録方法は以下の様になっています。

もちろん全て英語です。頑張って読んでいると読めるようになるはずです。馬や牛、羊なんかもあります。タイトルだけ見ていても今の先端の情報が把握できます。興味があるトピックは要約だけでも読めば良いかと思います。

Good Luck!

獣医学における超音波検査の本-2022年4月

2022年(令和4年)4月版

実際のところあまりない。実際には超音波検査では、実習あるいは練習あるのみで数多くの症例をあてた方がよい。

動物の超音波診断アトラス

ちょっと高い(¥30,800)のと古い(2009/6/30)のが少し気になる。しかし、アトラス(図鑑)的なもので画像が豊富なので1冊はあると良いと思う。原本は英語だけれども、もっと安い新しい。Kindleで買うと更に安い。図版が豊富で比較的質がよいこともあり眺めているだけでも十分楽しめるので、英語がわからなくても問題ない。

Atlas of Small Animal Ultrasonography

本 ¥25,727- Kindle ¥18,698- 発売日 2022/5/24 (この記事を書いている時点では未発売、そもそももっと早く出る予定だったような・・・)

イチからはじめる犬と猫の超音波検査

読んだことありません。

腹部エコー検査パーフェクトガイド のどの奥から腹の底まで

読んだことありません。

すべての獣医師のためのPoint of care超音波~超音波次世代テクニック~

「第2章 腹部の先制スクリーニング超音波検査」を書いています。やはり超音波検査の基本はスクリーニングだね。ただ、もう中古本しかないようだし、買って頂いても私に印税は入らない。

読書について

パッド

電車での移動時間は、読書に最適である。ただ、本を持ち歩くのは、かさばる、重い、何冊も持ち歩くことが難しい。そのため最近ではiPad miniのWi-Fi + Cellularモデルを使用している。これで、一度に何冊でも持ち歩くことができるようになったし、好きな場所でその時の気分で読書ができる。Wi-Fiモデルを使用して携帯電話でテザリングすれば問題ない。長時間の使用となると携帯電話のバッテリーの持ちが心配になる。

本を読む場合に、生理学や生物学などを含む一般の本であればAmazonのKindleで十分である。特に、カラー図版のない本の読書ならKindle電子書籍リーダーの方が読みやすいという。ただ医学書となるとKindleにはないが多い。そのため私が利用しているのは、M2PLUSと医書.jpである。どちらでも構わないけれども、基本的にM2PLUSを使用するようにしている。蔵書はほぼ同じであるようだけれども本によっては出版社の関係なのか、どちらかにしかない本もあるみたい。M2PLUSにないときは、医書.jpで探してみると探している本がある時もある。

M2PLUSへのリンク

M2PLUS アプリ iPhone・iPad  Google Play

医書.jpへのリンク

医書.jpアプリ iPhone・iPad  Google Play

Amazon へのリンク

Kindleアプリ iPad  Google Play

いずれの場合でもアプリでもブラウザーでも読める。しかし、購入はブラウザーのみでの対応なので、私はブラウザーで購入してiPad miniのアプリで読んでいる。

Kindleも同様な方法を採用しているので、KindleやAmazonアプリでは本を購入できない。ブラウザーからAmazonにアクセスして本を購入する。

残念ながら、獣医学の本はどちらにもない。英語の原本ならばKindleにあることもある。

Don’t think. Feel!

ブルース・リーの映画で「燃えよドラゴン」の中で「Don’t think. Feel!」という言葉かある。

これについて非常に良いことを言っているサイトがあった。

あの名セリフ「Don’t think. FEEL!」の後に続く含蓄に富んだ言葉、知ってますか?

https://business-study.com/dont-think-feel/

ここではこの先に続きがあって、そこまで知らないと本当の意味はわからないという。

こう続く、

“Don’t think. feel! It’s like a finger pointing away to the moon. Don’t concentrate on the finger, or you will miss all the heavenly glory.”

考えるな。感じろ!それは、月を指で示していることと同じで、指先に集中していると、月の美しい輝きを見逃してしまう。

「これは!超音波検査の実習デモンストレーションの時に使える!」なんて思った。

というのは、腹部の超音波検査実習を始める前のデモンストレーションの時に多くの人が私が当てている動物のお腹とプローブを見ている。でもあてている私は最初にあてる場所の確認の時に見るだけで、あてている場所なんでほとんど見ていない。というのは、実際にあてるときはどんな画像が得られているかを確認しながらあてているので、手元の動きなんで見ながらあてているわけでない。ここからあてて今この画像が出ているなんてことはさして重要ではなく、この画像をだしてどう判断していくのかに注目してもらえたら良いなと思う。

あてている場所に気を取られていると、実際に画像の変化を見落とすこともあるよということなんだなと思う。

だから参加している先生方には画像に注目してもらいたいのである。でも、参加している先生方に「Don’t think. Feel!」って言ってもわかってもらえないよね。でもそんなことの説明に時間をかけるのはもったいないし・・・