X線グリッドとは、「ブレンデ」とか「バッキー」とか呼んでいる人もいますが、正式な名称はX線グリッドでいいと思います。
このX線グリッドとは、カセッテの上に載せて使用する板状の物です。この役割は、X線検査時に発生する二次散乱線を防止して、一次X線のみのクリアーな画像をつくるための物です。構造は簡単なもので、X線を透さない薄い鉛の板とX線を透すアルミや紙、木など薄い板を、向後に並べ、窓のブラインドと同じよう一定の方向からの光(この場合一次X線)を通すことで、生体にあったって生じた散乱線がフィルムへ到達しないようにしているものです。
「ブレンデ」とは、X線グリッドの別名でありますが、X線グリッドをさして呼ぶ呼び方としては一般的ではないかもしれません。「バッキー」という言葉は、X線グリッドの分類の時使われる言葉で、リスホルム・ブレンデ(静止形)とバッキー(ブッキー)・ブレンデ(移動型)という分類の時にこれらの言葉が使用されます。
使用するときは、撮影する対象物が10cmより厚い時となります。これは生体の厚みが厚くなるほど散乱線を発生するため、許容できる厚みが10cmということです。ただし、10cmを超えても、骨関節や頭部の撮影には使用しない方が良いと考えます。
ここで注意して欲しいのは「10cm以下の部位には使用する必要がありません」という表現より、「10cm以下では使用しない」という方がよりかも知れません。そのため「10cm以上の部位にグリッドを使用しましょう」という考えの方がよりと思います。グリッドを使用しないで済むならそれに越したことはありません。せっかく撮影したフィルムに細かい線が入ってしまうからです。
近ではDR(digital radiography)やCR(computed radiography)が普及してきて、グリッドなしでもコンピュータ処理によって散乱線が補正されて、より良い画像が得られるようになりました。 また、得られた画像が人の目でも見やすくなるようグレースケールの修正やエッジなどの強調も行われていて、時にX線フィルムではあまり見られなかったものが見られるようになっています。(詳しいことはまた改めて)
一番の問題点は「X線グリッドを使用すると線が入る」と言うことです。骨格や関節の細かい構造を見るためにはこの線が邪魔になります。そのため、グリッドを使用して撮影された場合、関節周囲の細かい骨変化や骨の骨膜反応などが確認できないこともあり、正確な読影ができないこともあります。
「散乱線を減らすためにはX線グリッドは必要ですが、骨関節や頭部の撮影には使用しない」と言うことをお忘れなく。
※ 2022/10/12修正
参考HP:
http://www.jichi.ac.jp/usr/radh/admnradh/kennsyu3.htm
以下の本も参考にしてください。